建築レクチュアシリーズ 217へ

最近、空間のコンセプト企画や来館者の導線企画などの仕事に関わることも増えてきました。

 

sen、seを立ち上げる時に考えていたのは「広告だけをやる事務所にしない」こと。

建築、ファッション、音楽、飲食、スポーツなど、興味ある分野に関わって仕事がしたいし、

掲載期間が終わったら消えてしまう広告(いい広告は記憶にずっと残りますが)とは異なり

いちど建てられると長く残る建築物には一種の憧れのようなものも感じていました。

 

仕事の幅も少しずつ広がりつつある中で、自分のスキルも広げる必要性を感じていたので、

グランフロント大阪のナレッジシアターで開催された「建築レクチュアシリーズ217」に行ってきました。

 

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ゲストスピーカーは有名建築家の千葉 学 氏。

トークショーのテーマは「ヒトの集まり方をデザインする」という非常に興味深いもの。

モデレーターの平沼 孝啓 氏と芦澤 竜一 氏との対談形式で進むトークショーは、

事例紹介や仕事への取り組み方など、かなり深いところまで聞くことができて楽しかった。

 

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まず最初に驚いたのは、コンペ案件もたくさん手がけられていること。

千葉さんほどの有名な方ならば、指名で仕事が入ってくるのかと思ってしまっていました。

そして、コンペ案件に対する取り組み方が凄まじかった。

模型を30以上も製作し、とにかくたくさん案出しをしてアイデアを詰めていかれる。

「コンペ案件は筋トレだと思って取り組んでいる」とサラッと言われる姿が印象的でした。

 

そして、もうひとつ興味深かったのがアイデアの導き出し方。

ある町の役場の改修案件紹介で、空間デザインを考える際に市章の形をモチーフとして

アイデアを進めていかれたと話をされていました。

そこで何度も失敗を重ねる中で、最終的な形が生まれていったということなのですが、

アイデアを生み出す始点は、僕でも考えそうなことだと意外に思いました。

ただ圧倒的に違うのが、そこからのブラッシュアップ方法。

先のコンペ案件もそうなのですが、とにかく自分の信念を曲げずに極限まで粘り続けている。

「市章の形が美しいから」でスタートしたアイデアを徹底的に試行錯誤を繰り返し、

その形は変じゃないかと意見があっても市章を違う捉え方をしたアイデアを提出される。

試行錯誤からの気づきが、最終案へと繋がっていく仕事の進め方を学ばせていただきました。

 

 

[今回のトークショーで学んだこと]

その1. コンペ案件のアイデアは、もっともっと考えてブラッシュアップを図っていこう。

その2. 自分の信念を簡単に曲げるのではなく、徹底的に貫いてみることも大切。

 

 

「ヒトの集まり方のデザイン」というテーマに即してとても印象的だったのが、

メーカーから届いたフェンスを考えてほしいという依頼に対しての千葉さんの提案でした。

 

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千葉さんは空間を遮るという考え方を好まないようで、最初お断りをされたそうです。

その回答を聞いたメーカーが「そういう方にこそ考えていただきたい」と熱心に依頼されて、

生まれたフェンスがリングが挟まったような形状のフェンスということです。

リングは植木鉢のサイズに合わせて設計されており、フェンスに植木鉢を置けることで

空間を遮断するのではなくそこに人が集まるきっかけを生み出すという考え方。

非常に分かりやすく、まさに「ヒトの集まり方」がデザインされていると感じました。

 

進行中の案件で、市庁舎の改修工事をされているというお話も聞くことができたのですが、

そのコンセプト「ヒトが集まれる市庁舎」という、明快かつ時代性を捉えられた考え方でした。

市民にとって市庁舎とは、ほぼ税金等の手続きの際だけに足を運ぶ場所となっているが、

 

市民が活動できる場とすることで行政と市民の協業を生み出す場へと認識/役割を変えていく。

いま時代に必要とされていることに、どれだけ深く真剣に向き合うかが大切だと感じました。

 

 

[今回のトークショーで学んだこと]

その3. 人や時代が求めていることに真剣に向き合うことから、必要とされるデザインが生まれる。

 

 

建築や広告などジャンルは違っても、アイデアを考えるためのきっかけや必要な要素は

「人に求められているか」「時代性を捉えているか」など、同じだと思いました。

ただ、自分の仕事に対して最後まで真剣に向き合い、どれだけ粘り続ける努力ができるか。

この点が上にいける人とそうでない人の大きな差だと痛感しました。

 

いろんなところに出ていって、いろんな人の話を聞いて、見識を広げることは大事だ。

千葉 学さん、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

 


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